文献検索の方法
文献検索の方法
以前、EBPTについての記事を紹介しました。
EBPTを実践するためには、個々の患者にあった先行文献を見つける必要があります。
文献、論文などというと手を出しにくい印象があるかもしれません。
しかし、慣れればそんなに大変なことではありません。
ここでは、調べ方がわからないという方のために、文献検索の方法についてお話ししたいと思います。
文献抄読の目的
- 新しい知識の獲得
専門職として日々新しい多くの知識を蓄えるために、日常的にできるだけ多くの文献に目を通すようにする。
- 臨床判断
患者の適応を考え、治療効果が大きく、患者の利益となるものを探す。
インフォームド・コンセントやEBPTの活用に役立つ。
- 臨床研究
研究や論文作成の際の参考文献として調べる。
研究における同一実験の比較や疾患・症状の理解、文献作成における慣習や専門用語の理解に役立つ。
文献検索の種類
- ウェブ検索
インターネットを使用し電子データベースによる検索
手軽で大量に短時間で検索可能
専門分野の雑誌、学会誌から検索
- 引用文献の孫引き
文献末尾に記載されている引用文献から関連する文献を検索
- 二次文献の利用
エビデンスの高い内容のため、概要を把握するために最適。
まずは、これを読むのが良いのでは。
※二次文献:システマティックレビュー(系統的、網羅的に集めた文献に批判的吟味を加えてまとめたもの)やガイドライン(システマティックレビューを参考にまとめた標準的な治療方針)のこと
代表的な無料の電子データベース
インターネットで文献検索をする際に無料で行える代表的なデータベースを紹介します。
国外の文献検索
主に英論文、英文献を検索する際に使用します。
医学の研究は海外の方が進んでいるため、特に研究や論文作成の際には英論文を読むことをお勧めします。
米国国立医学図書館が提供する医学文献データベース
とても有名で英文献の検索をする際は、基本的に使うサイトです。
私も一番活用しています。
- PEDro
オーストラリアシドニー大学理学療法学部にある組織が運営するデータベース
理学療法の二次文献データベースのためエビデンスレベルが高い文献が集まっています。
しかし、信頼性の高い文献のみのため、文献数が少なく、キーワードが多いとなかなかヒットしません。
国内の文献検索
気になった事など簡易的に調べるのに役立ちます。
Google社が運営するデータベース
和文、英文問わず、様々な専門雑誌、書籍を網羅している。
独立行政法人科学技術復興機構が提供するデータベース
文献検索のポイント
文献検索は検索条件によっては膨大な数の文献がヒットするため、検索するキーワードを決める必要があります。
PICO /PECO
- Patient(患者):どのような患者に
- Intervention(介入)/Exposure(暴露):どのような介入を行った場合
- Comparison(比較対照):何と比較して
- Outcome(転帰):どのような結果になるか
患者の問題点を4つの要素に分けて疑問点を明確化し、自分の患者の問題点、どのような結果が欲しいかをはっきりさせることができます。
その他
- 質の高い(エビデンスレベルの高い)文献を選ぶ
- 収集した文献の批判的吟味
研究デザイン、症例数、妥当性、再現性など
- 患者適応を考える
個別の問題に適応可能か
まずは、文献になれることが大切です。
現在は、携帯でインターネットを使って調べられる時代です。
通勤時など暇な時間に簡単に調べることができます。
普段から、文献検索を行い、文献に触れてみてください。